くだもの辞典
かき
来歴

かきの原産地は不明ですが、野生種は中国、朝鮮半島、日本に広く分布しています。我が国では古くから親しまれてきており、平安時代の文献『延喜式』にも登場しています。栽培が始まったころの品種は、これら野生種の交配により育成されたものと考えられていますが、日本では6世紀末ごろには栽培されていました。日本で本格的に栽培が始まったのは、徳川時代といわれ、御所柿や筆柿等の品種が栽培されていました。明治時代になると国の試験場が全国で栽培されているかきの調査を行い、平核無、富有、次郎等の現在も主力品種として栽培されている、品質の優れた品種が紹介され、全国で盛んに植栽されるようになりました。

かきの栽培は日本以外の中国や朝鮮半島でも栽培されてきましたが、そのほとんどの品種は渋がきです。甘がきは日本で生まれた品種で、現在では海外にも広く紹介されています。

主産地 日本の主産県

日本の主要生産県は、次のとおりです。かきの品種は地域特産的なものが多く、東北地域の会津身不知、山梨県の甲州百目(福島県では蜂屋)、中国地域の西条、遠州地域の次郎、鳥取県の花御所、また干し柿用品種としては、長野県の市田柿、富山県の三社柿等があげられます。現在、山形県や和歌山県で多く栽培されている平核無の原産地は新潟県で、新潟県や山形県の日本海側でも主力品種として栽培されています。

種類

かきには樹上で自然に脱渋する甘がきと、脱渋処理をしないと渋くて食べられない渋がきがありますが、甘がきが自然脱渋するには比較的高い気温が必要なため、関東以北の地域で甘がきを植えても渋が抜けません。渋がきの品種は、炭酸ガスやアルコ−ルで脱渋処理してから出荷されているため渋味は感じませんが、これは脱渋処理によりかきのタンニンが水に溶けない不溶性に変化したことによります。

また、甘がきには果実に種がなくても自然脱渋する完全甘がきと、種の周囲だけが自然脱渋する不完全甘がきがあります。このため、不完全甘がきの品種では種が少ないと渋味が残ることがあります。完全甘がきは果肉内の褐斑が少なく、不完全甘がきは多くの褐斑が入るのが特徴です。渋がきは、種があっても渋が全く抜けない完全渋がきと、種が入れば果肉の一部に褐斑が入る不完全渋がきに分類されます。

甘がきのほとんどの品種は生食にされますが、渋がきは脱渋処理して生食にされるものと、皮を剥いて乾燥し干し柿にされるものがあります。品種によっては富士、市田、三社のように主に干し柿に適したものもあります。

以下主な品種の特徴を紹介します。

品種名 甘・渋 収穫期 果皮色 果形 1果重 糖度
富有 完全甘 晩生 橙紅 扁球 250-300 16-17
次郎 橙赤 角扁球 250-300 17-18
西村早生 不完全甘 早生 扁球 200-250 15-16
刀根早生 不完全渋 橙黄 角平球 200-250 13-14
平核無 中生 200-250 14-15
西条 完全渋 釣鐘 150-200 17-19
愛宕
晩生 300-350 16-17
富士
不完全渋 橙赤 400-450 17-18
市田
完全渋 中生 100-150 18-19
三社
晩生 300-350 18-19
西村早生

種子が少ないと渋が残る不完全甘がきです。収穫時期は9月下旬から10月上旬で、富有より1月ほど早い。果肉は橙黄色で大きなゴマがいくつもあります。ほとんどが人工授粉で、種子が4つ以上入ると渋みが残りません。(主な産地は福岡、岐阜、茨城)

次郎

完全甘がきです。早生化した枝変わりで、一木系次郎、前川次郎等があります。収穫時期は10月中旬から11月上旬です。(主な産地は愛知、静岡)

富有

完全甘がきの代表的品種で、早生の枝変わりに松本早生富有があります。種子が少なく、渋みが残らない味が特徴です。9月から食べられますが、成熟するのは11月上旬から中旬にかけてとなります。(主な産地は岐阜、奈良、福岡)

刀根早生

渋がきの代表的品種である平核無(ひらたねなし)の突然変異した早生種です。熟期は9月中旬から10月下旬、果実、品質ともに平核無とほとんど同じで、脱渋は刀根早生の方が簡単にできます。(主な産地は和歌山、奈良、新潟)

平核無

庄内がき、八珍、おけさがきの別名を持っています。無核性の不完全渋がきです。平核無(ひらたねなし)の原名は八珍といい、これは新潟県の新津市に実存する樹齢300年を越える原木を指し、県天然記念物に指定されています。名前のとおり種子がなく、黄色い果肉はやわらかくて多汁です。収穫期は10月中旬から下旬です。(主な産地は山形、和歌山、新潟)

西条

広島県賀茂郡が原産ですが、東広島市西条町が取引の中心になっていたことから、この名前が付きました。中国地方の古い品種の完全渋がきです。脱渋後は甘みが強く、味は濃厚。成熟期は10月下旬から11月上旬となっています。(主な産地は島根、岡山、山口)

旬の時期

かきは果物の中でも特に栄養価に優れ、ビタミンCやカロテン、カリウム、タンニン等が多く含まれ、生活習慣病の予防や二日酔いにも効果があるといわれています。また干し柿はさらにそれらの成分が凝縮された健康食品といえます。

かきの主要出荷時期は9月〜12月ですが、8月にはハウス栽培ものが、また年明けには冷蔵された富有も出荷されています。甘がきは西村早生、松本早生富有、伊豆、次郎、富有の順に、渋がきは刀根早生、平核無、愛宕、富士等の順に出荷されますが、一般的には早生品種より晩生品種の方が食味が優れています。

干し柿はその乾燥度合により分類され、水分含量が25〜30%のものがころ柿、50%前後のものはあんぽ柿と呼ばれています。日持ちについては、水分含量が少ないころ柿の方が長く持ちます。

おいしい果実の選び方

おいしいかきの選び方

色 果実全面に着色し、褐変がないもの。
表皮 張りがあり、ヘタの部分の果皮に亀裂がないもの。果面に薄く付いている白い粉は果粉(ブル−ム)と呼ばれています。果実自身が作り出している物質で、これがついているのは新鮮な証です。
形 特に不完全甘がきでは左右対象で変形していないものは、種が全体に入っていて渋くありません。
ヘタ 褐変がないもの。乾燥していないもの。
大きさ 中玉で、持つと見かけより重く感じるもの。

おいしい干しがきの選び方

表面 濡れたり、黒変がないもの。ころ柿では全体に白い粉(糖分の乾いたもの)が付いているもので、あまり硬くないもの。あんぽ柿では表面に破れがなく、アメ色のもの。
食べ方のポイント

甘かきは果頂部や果皮に近い部分が甘く、果芯部やヘタに近い部分ほど甘味が薄くなるとともに、渋味が残ることがあります。したがって、かきの皮を剥くときはあまり厚く剥かず、切り分ける場合は果芯部を取るようにします。

柔らかくなったかきは、ヘタを切り取りスプーンで食べたり、そのまま凍らせてシャーベットにしてもおいしく食べられます。

貯蔵方法

乾燥しないよう、ポリエチレン袋に入れ、
貯蔵すると良いでしょう。

栽培方法
かきの一年間の主な栽培管理作業を紹介します。
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